Top > 修理 & レストレーション > ヒーター & クーラーユニットOH 〜 R134aレトロフィット考察
2003年の夏こそは、快適なドライブを堪能したい。
なかなか手を出せず、不動のままだったエアコン。
気が付けば、サービスバルブを押しても何も出てこない程に冷媒はすっかり抜けきっており、そのお陰でと言うのも気が引けるが、OHから組み上げまでまでなら自分で出来る見通しがついた。
ヒーターはと言うと、送風時に吹出し口からスポンジの破片が多数出て来る、つまり、内部のパッキン材が経年劣化でボロボロな状態であるのは間違いない。
もはや、一度全て外してまとめて直すしかない、と思って、一念発起。




インパネを外したところ。
当たり前だが、ホコリがすごい。 インパネを外したのは、R30ではこれが初めて。


エアコンとは関係ないが、メーターAssyへ繋がる車両側のワイヤハーネスには、謎のエレクトロタップが。
スピードセンサー出力だが、その昔、前オーナーがやったのだろう。
コネクタ内のターミナルには、ワイヤがカシメでなく半田付けされている。
一体何のための分岐だったんだろう。 このHRには、これ以外にも謎の改造跡が多い。


インパネ周り作業のついでに、こんなことも。
メーター照明には、ツマミで明るさを増減できる機能が付いているが、要らないので、写真のようなジャンプケーブルを作り、調整ユニットへ来ているコネクタに差し込み、キャンセルした。
黒白線と黒線とをショートさせるだけ。


リアデフォッガースイッチへ行くコネクタは、熱で溶けていた。
この配線、何とリレーを介さず、熱線へ行く大電流をスイッチが直接オンオフするようになっている。
スイッチ端子間での抵抗を測ったところ、2Ωもあった。 これが原因で発熱したのか。 何とも危ないクルマである。
スイッチは、分解して、曇っていた接点表面を磨き、接点復活材を吹いたら、抵抗はゼロコンマ数オームへ下がった。




ブロアユニットの取り外し & 分解再組み立て。
凄まじく汚れていたファンは、洗ってみたら透明のポリカーボネートで出来ていることが判明した。


組み上げ完了。
パッキンは市販の高耐候性隙間テープで代用し、リンク部へはグリスアップ、モーターシャフトへ少量注油しておいた。




クーリングユニット内は、想像を絶する汚さ。
これじゃ、冷えないワケだ。
見ると、エキスパンションバルブとエバポレータの接続部2箇所からは、オイル漏れ(すなわち冷媒も)を起こしていた。
ブロアユニット側のエバポ表面、ユニット底面への汚れの堆積が凄い。


対して、ヒーターユニット側のエバポ表面はきれい。
エバポ低圧側配管途中にある、スーパーヒートセンサには、白っぽい粒子状の何かが堆積していた。
リキッドタンク内の乾燥剤が劣化し、崩れて配管内へ流入したのか?


続いてヒーターユニット。
まず冷却水を抜き、ヒーターへ行く配管を外し、ヒーター側パイプに栓をする。
取り出したヒーターユニットのドアスポンジはやはりボロボロ。 吹き出し口から飛んで来るスポンジ片はこいつが原因だった。


手前に映っているパイプとジョイントホースの間から、過去に水漏れを起こしていることを発見。
分解してから分かったのだが、この手前のパイプ、ジョイントホース挿入部の断面形状が、目で見てわかるくらい楕円になっていた。
製造時から既に歪んでいたのだろうか。 これじゃ、漏れて当然。
プライヤでつまみ、目で見てだいたい円に見える程度まで修正した。


ジョイントホースは2本とも交換するのだが、これらは単品では出ないらしい。
ストレート形状の方は、切り売り品で間に合う。問題はもう一方のL字形の方。
そこで、ケチってまっすぐな新品ホースからこれを作れないか、と試してみた。
直径方向に潰れが発生しないようにスプリングを入れ、曲げて万力で固定し、内側をポケットトーチでさんざんあぶってみたが、形が付く気配全く無し。
仕方がないので、無理やりスプリングを入れてホースごと曲げ、そのまま組んでしまった。
ホースとスプリングの半力が原因で、後々ヒーターコア口元(樹脂製)の破損など起きなければいいが・・・。


ヒーターコアは、経年劣化でダメになった緩衝材以外は至ってきれい。
エアと水槽を使った漏れチェックでも、異常なし。
良かった。


組み立て完了。
ブロアユニットと同じく、パッキンには高耐候性隙間テープ。


カーペットを全て剥がしてみる。
このあと掃除をし、写真に写っているワイヤハーネスをどけて良く見てみたが、よく言われるフロアとバルクヘッド、及びサイドシルとの継ぎ目周辺のサビや腐食は、この車両では幸い発生していない模様だった。
上の写真は、運転席と助手席足元だが、後部席周辺も良好な状態。


カーペットは、布団タタキでよく叩いたあと、水洗いできれいさっぱり。
1994年にも一度剥がして掃除したことはあったが、水洗いはこれが初めて。




続いてエンジンルーム内の作業。
ひどいオイル漏れ。
コンプレッサオイルの多くが、冷媒と一緒にここからも大気開放されていったのだろう。


ここで、重大な破損箇所を発見。
リキッドタンクに繋がるパイプのナットに、亀裂が・・・。
急遽、アルミ用のロー付け材を買って来て補修した。カセットコンロ用ガスボンベが使えるバーナーを持っていたので、それでナットをあぶり、ローを溶し込む。
慣れないため、ローが流れてあまり綺麗に仕上がらなかったが、少なくともこれで当面は大丈夫、と願いたい。
しかしこれは、後になってやっぱりダメなものはダメだった、と分かることになる・・・。


ラジエータも、外したついでにフラッシング。


新品のエキスパンションバルブと、リキッドタンク。


再び室内のパーツへ。
クーリングユニットに、新品のエキスパンションバルブを組み付けて、保温のためのテープを巻く。
テープは、人工芝用両面テープで代用。


この頃のクルマは、エアコンはディーラーオプションなので、基本的にインパネが付いたままの状態で(或いは少し緩めるだけで)取り付く、はず。
なので、インパネを先に組み付け、クーリングユニットは後から入れてみた。
ちょっと手間取ったが、無事に終了。




ホースは、高圧・低圧側ともに新品。
プレッシャスイッチとそのOリングも。 疑わしき&古きは、全て。

全て順調に組み上げ、電装屋さんへまっしぐら。
真空引き、ガス充填、圧力も極めて正常、といい感じ。
作業終了後、念のためリークチェックしましょうか、との勧めで、やってもらったら、漏れが見付かった。
リキッドタンク出入り口から、目視で見てわかるほどのオイルの滲み。
コンデンサ出口からリキッドタンクに繋がるパイプの、ナットの亀裂が原因。 自分でロー付け修理したのだが、ダメだった・・・。
ナットだけの交換は出来ない (フランジがあるので外せない。少なくとも自力ではムリ) なので、仕方なく新品のコンデンサーを取り寄せた。
後日判ったのだが、ナットの亀裂は、パイプの通る中心の穴付近まで進行していた。これじゃ、ロー付けで直るレベルではない。


注文してから10日程度、当初の見込み所要日数の半分程度で入荷した、新品のコンデンサー。
心洗われるような漆黒。
塗装も剥がれ、改めて見るとコア部のアルミも所々腐食しかけて今にも穴が明きそうな20年モノとは、これでお別れ。
しかし、\29,000は痛かった。


リキッドタンク出口付近にあったもう一箇所のオイルの滲みは、高圧パイプフランジの厚み方向の潰れが原因だった。
自分では覚えが無いのだが、何らかの理由で過去に増し締めされた際、トルクが強すぎたのだろうか。
Oリングの当たる部分の潰れが特に酷い。
ま、こんなこともあろうかと思って、コンデンサと同時にこのパイプも新品を取り寄せておいたので、事無きを得た。
左が、ガス漏れを起こしていた元のパイプ。右が新品。
新品は、リキッドタンクへの接続後、一度外して、フランジの潰れがないことを確認して、再び同じトルク(勘頼みだが) で組み付けた。


リビルト品と交換するか現物をOHするか迷ったが、こういう古いタイプのリビルト品は流通量が少なく、時間が掛かりそうとのことだったので、OHすることにした。
見れば分かる通りだが、左はOH前、右はOH後。
クラッチは生きていたので、何もしていない。



R134aレトロフィット考察

トヨタ車では、デンソー製エアコン用のレトロフィットキットなるものが出ており、R12からR134aへの入れ換えが出来る。 おそらくはトヨタとしてのメーカー保証も付いているのだろう。
これは、R134a用サービルバルブと警告ラベルがセットになっているものらしく、配管に組み込み済みのOリングは、仕様の面から言えば交換は不要らしい。
ニッサン車ではどうなんだろうか。
Oリングを購入する際、日産部販の窓口で尋ねたところ、
「ガス種類によるOリングの区別はしていない。」
とのこと。
しかし、新冷媒への移行に合わせて、配管のフランジ形状の統廃合が実施され、それに伴なってOリングサイズ及び品番も新設されていることも分かった。
取り寄せた旧タイプフランジ対応のOリングが、R134a充填時の高圧力、そしてオイルの異なる成分に耐え得るのだろうか。
コンプレッサもその際、安心なリビルト品への交換を考えなくてはいけないだろうか・・・。

R12システムへのR134aの充填には、賛否両論あるようで、一概に正否を論じるのは、実車で現れるかも知れないであろう現象を見ているだけではムリかな、というのが、今まで調べてみて持った私なりの結論。
Oリングは、日産車で言えば、旧ゼクセルとカルソニックのものは、最近のものは少なくとも両冷媒に対応しているらしい。

懸念されるのは、高低圧ホース。
特注で作れば話は別だろうが、今でも取れる純正品は元々がR12用として設計された材質なので、たまたまR134aとの相性が良いか悪いか、といった賭け的な側面があるように思う。
数ヶ月〜1年程度経過したところで内部からヒビが入り、進行するケースもままあると聞く。
一口にR12用の材質、と言っても、製造メーカーによってその組成はまちまちだろうし、「やってみなければ分からない」というのが実情なのでは、と思う。

主にトヨタ車向けのデンソーでは、レトロフィット施工後のエアコンは、例え何も起こらなくても年1回のチェックを客へ勧めるよう正規取り扱い店へ要請しているらしい。
今までのR12時代のような、「異常が出たら点検を」的なものではない。
炭酸ガス等の次世代冷媒が普及するまでの一時しのぎとして、取り敢えずはR134aで対応したい、でも一方で、定期チェックで入庫させて市場クレームは未然に抑えたい、という、いわば暫定策であると、個人的には解釈しているが、どうなんだろう。

というわけで、レトロフィットは見送りました。
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